ゲージュツ的しつけ

フェレットのしつけが書いたゲージツ的なしつけ術の数々。メール→fererere25@gmail.com

2020-01-01から1年間の記事一覧

テレビみて一緒に笑いたい家族計画でした

テレビでは人を殺したニュースが流れていて「よく簡単に人を殺せるよね」なんて言った父親が次の瞬間には岩盤浴の広告を見て少しだけ笑いを噴き出したりしていて、人が死んだことを嘆いた三秒後に笑う感覚が一般的なんだろーか、と思い、じゃあいつもぼくは…

変な味

路地裏では雑居ビルの室外機がいっせいに動いているために、ゴウゴウとすごい音がする。彼はタバコを咥えながら、室外機の吐き出すなま暖かい空気のなかにいた。ここの空気のほうがタバコの煙より健康に悪そうだ。 彼は朝方が好きだった。深夜ではない。夜が…

秩序が崩壊していく!?ひまわりとたいようについて

ひまわりが太陽に似ている。 この世界には宇宙というのがあり、ぼくらがいる地球というのもそのなかに浮かんでる星と呼ばれる物質の集合体のひとつ、ということになっている。ぼくらが昔そうやって分類した。 太陽もまた宇宙をただよう星のひとつらしい。そ…

人生オシャカサマ

不器用なのは罪かもしれないけれど、不器用にしか生きられない人もいる。わたしみたいにね。怒っている女の子につい「怒ってるの...?」なんて伏し目がちに聞いて、それがきっかけで(それ以前にも彼女のなかには色々な感情があったのだろうが)ラインの返信が…

わかんないね

耳にできた大きな腫れものを右手でいじくりまわしていると、赤い汁と一緒にプチッと音を立てて、正確には音を立てるような勢いでつぶれた。昨日は帰り道でカエルを踏んだ。幸いにして彼は死ななかったけど、あの出来事は彼の寿命を大幅に縮めたんだろうなぁ…

小島信夫の二十二歳、梶井基次郎の二十三歳。保坂和志『小説の誕生』を読んで。

私たちはたとえば、カフカの日記を読んでおもしろいと思うのだが、その日記を書いたときのカフカは二十代前半だったりする。宮沢賢治の享年は三十七歳で、満二十七歳で出版した『春と修羅」を、その後に生まれた者たちは七十年八十年の生涯を通じて読んだり…

夏がふたつ

「わかって欲しいって気持ちが強くて、それであのこのことが嫌いになって」 おれはタコのジョーを殴りながら聞いていた。リビングには壊れた自転車と、植木鉢と、電灯があって、電灯は灯りがつかないまま上空に放置されていたので部屋は真っ暗ななか、女が喋…

たったの三日もあれば世界は変わるけど、世界が変わったことにはだれひとり気づかない

2020 7/6 朝起きると、8:00くらいだったのを覚えている。昨日はたくさん歩き、たくさん食べてから催眠誘導を聞いて、解催眠を聞かずにそのまま寝ついたのでずいぶんと深く眠ることができた。睡眠時間は少ないもののすっきりと目覚めることができて、僕はど…

水星は、みかづき町に擬態する

2020 6/29 何時に目が覚めたか覚えていない。昨日は眠れなくて、4:30ごろに寝ついたように記憶している。 二限の後半にレッスンがあるので、9:00には駅に行かなくてはいけない。7:30に起きようとして、7:45に起きる。朝の15分は大きい。この大きいって言葉は…

分けて、決めて、配置することーー永井 希 著『積読こそ完全な読書術である』を読んで。

www.google.co.jp 永田希著『積読こそ完全な読書術である』を読んだ。 僕は一昨日、これを読みながら寝ずに本の配置をしなおした。 とても面白かった。簡単に言えば、現代社会の情報過多への抵抗の仕方について書かれた本だ。 現代人は、あらゆるメディアで…

煩悩のひと

「空(ソラ)とはなんでしょう?」 という問いかけに見えた。お昼の眠りから覚めた僕の目に入ってきたスマートフォンのホームページのタイトル。 ほんとうは「空(クウ)とはなんでしょう?」というページだった。空(クウ)とは仏教の用語のことだ。 クウソクゼシ…

柴田ヨクサル『エアマスター』 第三巻 178ページ 一コマ目を見て眠れないはなし

「あれは一目ボレの超強力版だったな......」 「0.1秒ごとに好きになっていくカンジでさ...」 「3秒後には この世のこの時代に生まれてきてよかと思った...」 「この娘(コ)に会えたんだからなって」 (出典元:柴田ヨクサル『エアマスター』二巻 第14話 ジェッ…

記憶の中の深い海

ぼくはある部分はとても成長していて、ある部分は非常に幼い。 始めたばかりなのに上手くいくこともあれば、いつまで経ってもできないことがある。 多くの人がそうであるように、ある時は優しく寛容で、慈悲深い。ある時は怒り、悲しみ、絶望する。 基本的…

最高の”洋楽ロック”とごく個人的な思い出

はじめに さいこうの曲たち はじめに ぼくの音楽との出会いはおそらく洋楽からだと思う。 父親は洋楽が好きな人間だった。 具体的にいうと、ビートルズとクイーンとビリー・ジョエル。 歌詞の意味がわかったことはほとんど無い。 ぼくが意味よりテンションや…

最高の”邦楽ロック”(ぼくが知るかぎり)

はじめに 最高の曲たち はじめに 今まで聴いた中で最高の音楽を挙げてみました。 ここに集めた曲たちは全てぼくの人生において大切な曲です。 兄が部屋でかけていた曲、父に貰ったipodに入っていた曲、友達に勧められた曲、本で読んで聞いてみた曲、そんなふ…

身体に重なるすべての時間と、タネを撒く人

終わった幸福もいつだって思い出せるし、いつだってまた感じることができる。幼年期の幸福な時間を、思春期の何故かわからない全能感を。ぼくらの身体か脳か筋肉か魂が覚えていて、いつだってまた感じることができる。 それは終わった幸福だけど終わった幸福…

仏教とエクストリームスポーツと羽生善治。必殺技!無我の境地について

https://twitter.com/masayachiba/status/1254266546706210816?s=21 人文的な書き物や文学において全てを説明しようとしている文章が軽く見られるのは、俺が俺がという自意識過剰で、エゴイスティックだからである。理数系の文章が全面的な明晰さを目指して…

実験動物の妄想についての1000文字レポート

一人だけ取り残されたような気持ちがしている。時の流れは早く、それはぼくの思考よりずっと早い。ぼくの成長よりずっと早い。 本を読んでいると、その本について色々解説とかが書いてあったりする。友人と話したり、ネットで検索すれば様々な感想が返ってく…

会話 人称の移動 融合(カメラとか因数分解とかによせての)

鳥の羽がビルの間をななめに傾かせて通っていくのを見た。ふっくらとした体の年老いた鳩がぼくの足下で草を突っついている。何の気なしに言葉をつぶやく君の声をぼくは聞いた。正確には音を聞いた。音に意味が伴わなければ声じゃない気がする。ぼくは音の方…

煙は

便所からタバコの煙が灰色に上がって、チェーン店の大衆酒場の光に照らされて、また街灯の光に照らされて霧のように空へ飛んでいくのを僕はじっと見ていた。 もう店内では吸えない。 タバコは彼のものじゃなく、僕のものでもない。僕はタバコを吸わない。も…

生きてるみたいに

文庫本をめくる左手の抱える紙の束が薄くなっていくにつれて僕は興奮していった。自分の喜びが目的の達成ーーしかも、物理的な目的、ただただ読み終えるというその一点のみに集中している事実が、なんとも悲しい。 きっとこの文章の束を読んで何か得たり、何…

終結しないこと、無意味さ。

夕暮れとか、砂漠の始まりとか、どうしてもたどり着かないもの。決してたどり着かないところへ向かってずっと歩き続けているひとがいる。 虹の根元へ行こうと思った理由を彼はこう話した。「行かないと鬱になって死んじゃうからです。」 でも、虹の根本なん…

おうだんほどう

駅の階段を降りて、目の前に大きな通りがある。横断歩道は5メートルくらいの横幅があって、ずらーっと人が一列になっているから、昼の時間の駅前は混むのだと分かった。 今日はよく晴れていた。僕はイメージを膨らませながら歩いた。人々が何かざわめきを発…

ハグれモノ行進曲。

日記を書いてみることにした。日記は毎日続いているし、毎日続きを記録することが長編を書く練習になるっていう文章を読んで、それはすごいと納得したから。 2020 3/29 曇りのち雪のち雨。昨日は17度くらいあった気温が今日は4度。雪が降った。明日は13度に…

世界の色

小さな時に感じていた、ここがここじゃない感じ。なぜここに生きているのか分からない感じ。ここが夢なのかもしれない、だとしたらこの夢を見ている人間はまた誰かの夢かもしれない。夢のまた夢のまた夢の中で、どこが現実か分からなくなる。僕は目覚めるこ…

奇妙な記憶と、小学生による昔についての考察ーーグレイス・ペイリー『最後の瞬間のすごく大きな変化』を読んで。

グレイス・ペイリーというアメリカの作家の小説を読んだ。訳者は村上春樹だった。『最後の瞬間のすごく大きな変化』という短編集だ。グレイス・ペイリーは短編集を三冊出版して、たぶん子供に世話を焼いたり、友だちとコーヒーを飲んだり図書館に行ったりし…

フェレットのしつけ的な願い

大学に、動物と話ができる女の子がいる。嘘だろうと思っていつも一緒にいて見ていたのだが、迷い込んだ野良猫とも何か意志の疎通をしているのがわかった。僕が動物に伝えてほしいことを言うと、彼女は翻訳して伝えてくれる。それは身振りの時もあれば、目を…

心の中で言う

青色の炎に包まれて真っ逆さまに星が落ちている。凄まじいスピードで、真っ黒の中を駆け下りていくその放熱はやけに赤い尻尾を残して燃え上がる。とても綺麗だ。綺麗な没落が存在する。 「あれが流れ星になるんだよ」と、僕が喋ったら、地球至上主義だと言わ…

空間は伸縮可能である

りんごがいくつも落ちている。森の中に一ヶ所だけ開けた草原があり、木々に囲まれてぽっかりと開いたスペースになっているから、動物たちがここに来るのを待っていた。今日はそこにりんごがたくさん落ちている。この付近にリンゴの樹はない。 木漏れ日が差す…