柴田ヨクサル『エアマスター』 第三巻 178ページ 一コマ目を見て眠れないはなし
「あれは一目ボレの超強力版だったな......」
「0.1秒ごとに好きになっていくカンジでさ...」
「3秒後には
この世のこの時代に生まれてきてよかと思った...」
「この娘(コ)に会えたんだからなって」
(出典元:柴田ヨクサル『エアマスター』二巻 第14話 ジェッツコミック)
ビルの上から落ちていくマキのバックに東京の名前のない夜景が広がっている。
雑居ビル街の裏路地で、ビルの屋上で戦闘する。舞踊のように。
こんな感じの絵だ。たしかに絵だ。
柴田ヨクサルさんの『エアマスター』の三巻、第24話、178ページの出来事。
どうしてこんな絵を描けたのだろうか。
言葉では言えない。鮮烈とか、キレイとか、形容はできるけど、形容することではこの絵にも、この絵が喚起する何かにも決してたどり着けない
見ないと意味がない絵だ。一コマ。六コマあるページの一番上にある横に長い長方形の一コマ。
いま、マンガワンというアプリでエアマスターが読めるので、読んだことがない人は是非読んでみてほしい。読んだことがある人も読もう。
初回ダウンロード者にはたぶん100話分くらいのチケット?ライフ?なんらかの読む権利が与えられる筈なので、だいぶ長いこと読める。
ぼくも今少しずつ読んでいる。そしてマンガワンで言えば第24話の八ページ目から先に進めていない。
一コマ目から進めていない。
進めない。感情が何か出てきてしまってどうしようもないから。だから、こんな風に無意味な描写をしてしまった。
圧倒的な絵の前に言葉は不要だ。当たり前のことだけど、当たり前のことを実感として教えてくれる作品と出会えるのは幸運だ。ぼくは幸運だ。
圧倒的な絵を描いてしまってよかったのだろうか。こういうのを描く人の精神はおかしくなったりしないのだろうか。
柴田ヨクサル先生は、どうやらいたって健康らしい。