ゲージュツ的しつけ

フェレットのしつけが書いたゲージツ的なしつけ術の数々。メール→fererere25@gmail.com

秩序が崩壊していく!?ひまわりとたいようについて

 ひまわりが太陽に似ている。

 この世界には宇宙というのがあり、ぼくらがいる地球というのもそのなかに浮かんでる星と呼ばれる物質の集合体のひとつ、ということになっている。ぼくらが昔そうやって分類した。

 太陽もまた宇宙をただよう星のひとつらしい。そしてその太陽と、地球のなかのひとつの生命であるひまわりが似ている。

 太陽は宇宙をマクロに見なければ見えないし、ひまわりは地球をミクロに見なければ見えない。だから、ひまわりが太陽に似ているというのは、末端が全体に似ているということで、ひまわりと太陽は末端と全体の対立の極同士でシンメトリーに並んでる。

 人間は老いると幼くなる、というのを聞いたことがあって、実際にキレる若者も、キレる老人も両方みたことがある僕からするとそれはなんだか納得がいくような気もする。

 千葉雅也の実家で、幼い姪が眠くなっているのに、眠いことを認めたくなくて怒る、しかし目はトロンとしてきて体の動きは緩慢になり、ついに眠ってしまう、というようなことがあったってツイートを見た。

 それはアルツハイマーの祖母とシンメトリカルな心のあり方だ、と千葉雅也は言う。自分が自分でなくなることの恐怖、自我が確立していく段階が幼少期だとすれば、老年期に入ると人間の自我は散逸していくんじゃないか。だとしたら、それはなんだかとってもロマンティックだ。

 ぼくは理系を高校一年生でやめてしまってそれ以来理科を勉強していないから、その程度の理解で述べると、世界にはエントロピーの増大則というのがあるらしい。エントロピーとは乱雑さを量的に測る指標のことだ。つまるところこの世界のエントロピーは常に増大し続けるのだという。つまり、この世界はどんどん乱雑になる。秩序は崩壊し、物質は離散し、とびちる。

 ぼくは高校一年生までは理科を勉強していたから、原子や分子といった単位で物質がつながっていたり、電気的にプラスマイナスで結合したりすることはなんとなく知ってる。それはエントロピーの増大と逆の方向で、秩序を形成してる。

 死とはなにか、と考えたとき、物質のエントロピーが増大して、秩序が保てずカオスになった状態と言えるんじゃないだろうか。

 有機物は死ぬと分解されて土の肥やしになったり別の生物の一部になる。太陽などの恒星は進化の終わり迎えると、超新星と呼ばれる、大規模な爆発を起こす。ギリシャ神話だって最後には戦争が起こって世界がめちゃくちゃになってから人類の歴史が始まるし、シヴァ神は破壊をする神であるから創造も司ることになった。なにが言いたいかっていうと、生物とか星とか世界の終わりの時はすべてのものがめちゃくちゃに散逸していく、つまりエントロピーが増大していくということだ。

 人間は死ぬときに自我が散逸していくんじゃないか、というような話をした。そこから聞きかじりの熱力学の話をしたんだけど、つまりこれは全体と部分がつながっているということで、部分たる自我が全体(のような)宇宙に散逸していく姿のロマティックなイメージに心奪われて、つい書いてしまった。星も人間も世界も花も死ぬときに散逸していく、のかもしれない。これはまるでひまわりが太陽に似ているように、人間は世界に似ている、と言えるかもね!