2021-01-01から1年間の記事一覧
保坂和志の文章にはマインドフルネスと同じ効果がある。彼の明確だけどまっすぐ行ったり曲がったり来た道を戻ったりするような思考の跡をそのとおりたどっているとなにも考えてない自分に気づく。なにも考えてないというのは悪いことではなく、悪いことのよ…
つながることが良しとされている時代に、自閉症は生きづらい。 自分の好きなことを発信して、それを追い求める様を応援してもらう、それが昨今のエンターテイナーのやり方なんだろう。シェア。つながり。しかしそれはとてもつらい。 ぼくは極端な考え方をす…
星野源と新垣結衣が結婚した。 この一文を中学生のころのぼくに見せたらなんて言うだろう。「まさか」とか、「面白いね、小説?」とか言うのかな。 あの頃のぼくはラジオを聴きながら片道一時間三十分かかる中学校に通っていた。星野源といえばラジオから流…
まず一行目に短文を置く。 そして二行目で短文についての説明を始めたり、発展する未来のように、突然謎のセンテンスを入れたりする。 文章の中における文字数はだんだんと増えていき、情報は厚みを増しながら最初の短文を補足していく。 説明不足を取り返す…
ミシェル・ウェルベックの『素粒子』を読み終えた。 良かったのだろうか。ウェルベックの小説を読むたびにそう自分へ問いかける。この小説は良かったのだろうか。この小説を読んで良かったのだろうか。この小説は自分にとって良い影響を与えたのだろうか。 …
「まったくわからない」が、俺が本を読んでいるときの基本的な態度である。俺は頭が悪い。何が書いてあるかがわからない。文字は読める。何かが書いてあるのはわかる。 たとえば、「二つの美学が存在する。鏡の受動的な美学と、プリズムの能動的な美学。前者…