ゲージュツ的しつけ

フェレットのしつけが書いたゲージツ的なしつけ術の数々。メール→fererere25@gmail.com

自己カウンセリング症例①:どうしていいかわからず不安

「自己カウンセリングというのをやってみようと思う。」

「うん。そうなんだ。」

「だれも聞いてくれないなら、自分でやるしかない。」

「そうだね。聞いてくれないの?」

「そう。だれも聞いてくれない。」

「そうなんだ。しんどいね。」

「うん。だから、自分と対話をする。二つの人格(?)を用意して、一つは、違和感や無力感を抱えている自分。もう一つは、聞いてくれて、行動は、わかんないけど、感情はすべて肯定してくれる聞き手としての自分。」

「うん。そうか。二つ用意するんだ。」

「そう。二つ用意する。嫌な感情や、どうしていいかわかんない時、迷いの中にいる時、一方で迷いの中にいる自分を立てて、もう一方で、こいつは無能だし何もしないけど感情を全部肯定してくれて、話を聞いてくれる君を立てるんだ。それで、解決になるかわかんないけど全て吐き出してしまおうと思うんだ。吐き出すのにだってプロセスはいるよ。大事なプロセスだ。」

「大事なプロセスなんだね。吐き出してみようか。」

「そうする。」

 

  僕は、自分の主張がうまくまとまらなくて、何を言っても人に通じないって感覚を持ち続けて生きてきた。

 人の言ってることも、いまいちよく分からないことも多くて、コミュニケーションに不全感を抱えたまま大きくなってしまった。

 身体は、勝手に大きくなる。

 なので、自分を相手に会話してみることにした。悲しい奴に見えるかい?そうか。でもね、これが意外といい気分なんだよ。考えがまとまるんだ。

 さっき、一通の電話が来た。彼女は僕の伴奏者で、楽譜を渡されていない、という話だった。

 そんなはずはない。はずはないのだけど、でも、事実がどうであったかが問題ではない。彼女はとにかく、何故か、怒っている。

 そこで、俺は話を聞かなければいけないけど、とても不安だなあ、と思ってる。

 こういうところから対話は始まります。

 

 

「どうしたらいいんだろう。」

「どうしたの?」

「どうしたらいいかわからないんだ。」

「そうか。どうしたらいいかわからないんだ。」

「うん。どうしよう...」

「何がわからないの?」

「うーん、何かがわからない。。。なんだろう。なんとなく、どうしていいかわからない。モヤモヤする。不安なんだ。」

「そうか。不安なんだね。」

「そう。不安。とても不安。これから責められるんじゃないかって思うんだ。」

「これから責められるかもしれないの?それは、、、嫌だね。」

「そう。嫌だった。嫌だったから、ドラマを見るのも途中で切り上げてしまった。急に身が入らなくなったんだ。自分の感情の振れ幅がこんなに大きいって知らなかった。びっくりしたし怖かったなあ。でもやる気にならなかったから、もしかしたらやる気っていうのは不安がないと起こるのかもしれないなあ。」

「ああー、そういうもんなんだね。」

「うん。そういうもんみたい。とにかくやる気が出ないんだ。怖いんだ。不安なんだ。責められたくないんだ。責められたらどうすればいいかはわかるんだよ。」

「わかるんだ。すごいね。どうやるの?」

「ありがとう。そう。すごいの。どうすればいいかっていうとね、とりあえず、相手の話を聞くんだ。君に任せてしまうのもいいかもしれないけど。やっぱり俺がやらなきゃいけないかもしれない。」

「君がやらなきゃいけないって思うんだ。そうか。うん。」

「そう。俺がやらなきゃいけない。でも、できるかどうかわからない。俺は聞き手としては未熟で、どうしても、こんなふうに、自己主張したいんだ。」

「自己主張したいんだね。うんうん。」

「そう。自己主張したい。でもそれが聞き入れられないのだろうと思って、嫌になる。そして、俺が悪者になってしまうのだって嫌だ。相手の方が悪いじゃないかと思う。忘れていたのは相手の方で、俺は確かに楽譜を渡したから。それでも、俺が悪いことになる。下手な歌を歌ったからか?それはあるだろう。でも下手だから頑張るんだよ俺は。だから今日も5、6時間練習していて、それで喉は問題ないくらいの体力をゲットした。でも、疲れてしまったから寝ちゃったんだ。そのことに彼女は怒っているのかもしれない。でも俺だって俺なりの都合があるんだ。とはいえ彼女にも彼女の都合があって、それは尊重されるべきだ。俺は彼女にお願いしている立場だから、なおさらのことだ。」

「うん。君は悪くなくて、でも、彼女も尊重されるべきだって思ってるんだね。」

「そう。そうなんだ。それで、不安なんだ。」

「不安なんだ。そうか。」

「うん。不安。不安なんだよね。ああー。ちょっと落ち着いてきたよ。ありがとう。」

「うん。落ち着いてきたんだ。よかったよ。どういたしまして。」

「うん。ありがとう。しっかりと聞けるかどうかわからなくて不安だけど、頑張ってみる。とにかく、彼女の感情を満たすのが第一条件だ。それが一番大事。そのためにはまず自分を絶えず空っぽにしなきゃいけない。空っぽにしないと人の話は聞けないし、感情を受け止めることなんてできないから。でも、これはもう決めてしまえばそれでいい。僕は彼女の感情を受け止める。とりあえず出し切るまですべて受け入れる。それくらいの度量も容量もあると思ってる。自分の考えは浮かんですぐに脇に置いて、空っぽにし続けるんだ。自分のことを。主張するのは、彼女の話が終わってからだ。彼女の話が終わるまでどのくらいかかるかわからない。それでも、彼女の感情を否定しない。たとえ、俺が否定されたとしても。俺が否定されたと感じたって、彼女がそう思っていることを否定したりせずに、受け入れるんだ。スポンジみたいに。それを、決めて仕舞えばいい。」

「うん。空っぽになって受け入れるんだね。スポンジみたいに。」

「そう。スポンジみたいに。聞き手は常に空っぽの器じゃなきゃいけない、のかもしれない。とりあえず俺はそういう風にやんないといけないんだ。空っぽになるんだ。この瞬間だけは。もしかしたらそれは快感かもしれない。うん。もしかしたらね。いや、とはいえ今ちょっと、そんなことないって思ってしまったよ。とりあえず、方法論としての空っぽを試してみるんだ。彼女は何かを喋りたがってる。彼女の感情がそうさせている。それを受け止めるんだ。受け止めるんだ。」

「うんうん。受け止めるんだね。そうかあ。試してみるんだ。」

「うん。試してみようと思う。反論はしても、相手の感情を否定しないでいる。この、微妙なところを頑張れば、きっとうまくいくと思ってるから。きっとうまくいく。絶対に俺は大丈夫だ。彼女だって大丈夫だ。思った通りにならなかったとしても大丈夫。大丈夫じゃなくても大丈夫。むしろ、どうなるかなんてわからない。全く思いもよらない方向から解決の糸口が見つかるかもしれない。だから、そのためにまず彼女の感情を受け入れようと思う。」

「うん。きっとうまくいくよ。大丈夫。きっとうまくいくよ。」

「うん。きっとうまくいく。ありがとう。まだ、少し不安だけど、なんとかやってみるよ。いや、不安だなあ。ははは、やってみるよ。失敗したらまた聞いてくれ。ありがとう。」

「どういたしまして。」