ゲージュツ的しつけ

フェレットのしつけが書いたゲージツ的なしつけ術の数々。メール→fererere25@gmail.com

ダニエル・ジョンストン。死んだ歌手。ピュアな絶対性。

何が面白いんだか全然わからないけど面白いものがたくさんあって、小説とか、音楽にも多い。

 アウトサイダー・アーティストと呼ばれる人たちがいて、彼らはどこから見てアウトサイダーなのかというとこの健常者社会においてアウトサイダーなのでありつまり彼らは専門教育を受けていなかったり障害を持っていたりするのだが、それなら誰もがアウトサイダーだ。専門教育を受けたロックミュージシャンは少なくないが、彼らは専門家としてキャリアをスタートさせたわけじゃない。

 アウトサイダー・ヒーローと呼ばれるシンガーソングライターを昨日初めて知った。

 「ダニエル・ジョンストン」という名前だった。去年なくなった。享年58歳。

 たとえ死んだって名前は過去形にはならない。というか、名前に過去形はない。名詞だから過去形に相当する変化はしない。人間はどうやっても過去にはならず、それなら名前のない猫とかも決して過去にはならない。死んでも作品が残るとか子供が残るとかではなくて、そういう僕らが一般的に感じてる時計的な時間の流れとはまた違った時間感覚が身体の中にあるのではないだろうか。そう思うのは、死ぬのを怖がっているからだろうか。死ぬのは怖い。

 ダニエル・ジョンストンは死んだ。死んでから知った。彼は死んでいる状態だ。彼はダニエル・ジョンストンだった。この文章はおかしい。彼はダニエル・ジョンストンとしてダニエル・ジョンストンであり、今でもダニエル・ジョンストンであり続けている。それは僕が知ったからではない。生まれた瞬間にダニエル・ジョンストンであり、名付けられた瞬間にダニエル・ジョンストンに彼はなったのだが、それ以前に受精した段階か、ある時から彼は彼自身だった。それは絶対的な生命みたいなものがあって、しかしテープレコーダーからキャリアを始めた彼の音楽は絶対性をしっかりと音声の中に閉じ込めていて、それを通して彼を知ったのだが、知っていること、音楽があること、それと彼が彼であることの関係性みたいなものがよくわからない。

 ぼくが最初に聞いた曲はピアノを弾き歌を歌うことで作られていて、複雑なメロディも音楽的な新しさも、テクニカルな面では無いといってしまえば無かった。同じメロディがずっと繰り返される。でも、だからこそ何かが成立していて面白い。

 歌詞も英語だから何を言ってるのかはわからない。全然わからないしまだ訳詞とかも見ていないけど、何かを感じる。何故だか面白い。それが何故かはわからない。

しかし彼はピュアだ。ピュアなものは良い。