ゲージュツ的しつけ

フェレットのしつけが書いたゲージツ的なしつけ術の数々。メール→fererere25@gmail.com

無我の境地に至りたい。

 自分がワクワクすることをやって人をワクワクさせたい。少し難しく言うと、享楽の感染を引き起こしたい。

 感染、今はタブーとされる言葉だけど、感染するのは病原菌だけではない。流行や行動も人間同士で感染する。老夫婦は行動が似てくるってやつだ。脳にはミラーニューロンという神経があり、他者の行動を模倣して自分にフィードバックする機能が備わっている。スポーツ選手が熟練者の映像を見ると動きが良くなるのもこのミラーニューロンのおかげだ。

 感情は感染しやすい。僕らは笑顔を向けられると、たとえ数秒であっても、笑顔で応えてしまう。落ち込んでいる人が近くに居たら一緒に悲しむことだってできる。それは相手の気持ちを感じて、自分にもその気持ちが感染するということだ。こうした模倣に促される感情の感染を情動感染というのだそうだ。

 模倣、英語で言うとミメーシスだろうか。ネットミームという言葉を聞いたことがあると思う。インターネットを通じて、模倣を通して広がっていく一定の行動のことだ。最近のわかりやすい例は淫夢ネタだと思う。淫夢ネタは模倣とパロディを繰り返すことで一大ミームになった。SCPとか、最近では食べるんごの歌とかもネットミームだ。

 人間同士は模倣し合い、感情を感染させ合いながら生活している。その習性はネット上のバーチャル空間においても発揮されている。淫夢ネタが面白いと感じるのはミラーニューロンが関係しているのではないだろうか。

 僕は前から絶対的な相互性を目指している、みたいなことを言っている。自分の喜びが相手の喜びになり 、相手の喜びが自分の喜びになるような現象を起こしたいと思っている 。自分が絶対的に享楽すること、それが他人の享楽になる、そんな夢みたいな人間関係を求めている。

 おそらく僕は情動感染を引き起こしたいのだと思う。自分の感情がなんらかの形で他人に伝播していく瞬間におそらく喜びを感じる。

 スポーツ選手がゾーンに入るとか、演奏家が自分がなくなるとか言う瞬間。ある行動にめちゃくちゃ集中して没頭してる状態を英語でフローと言うらしい。

 フローの状態にある人間を見ると、その人の集中が伝播してきて、観ている人も同じような集中が起こる。熱狂のメカニズムだ。andymoriドレスコーズのライブ映像を見ると、演奏者たちがフローの状態になっていることがわかる。わかるというか感じる。すごい熱量がステージからも客席からも立ち上っていて、あの瞬間は幸福だろう。

 あのとき演奏者は、それぞれの言葉で、ワクワクしたり幸福だったり魂が震えていたりするだろう。観客も、同じようにそれぞれその場と集中を享楽している。画面越しに観ている僕らもその感情に感染していく。情動感染は上手に使えば幸せを広げることができる。奇跡を起こせる。

 情動感染を引き起こすにはフローになることが必要だ。無我の境地とはそういうことだろう。無我の境地に至りたい。小さいときテニスの王子様を読んで憧れた。あれは存在する。奇跡的な舞台は世界にいくつもあって、映像がたくさん残っている。没頭、集中、それをキーワードにしばらく色々やってみようと思う。