ゲージュツ的しつけ

フェレットのしつけが書いたゲージツ的なしつけ術の数々。メール→fererere25@gmail.com

あなたは大丈夫です。

 戦争が起こったらむざむざ死にに行くような感動中毒のやつらばっかりだ。

 ワンピースに毒されすぎてる。男が泣くのがかっこ良いと本気で思ってる。

 僕が臨界点に達した午前2時半に全てを破壊しようと思って自転車に乗った。

 セブンイレブンのガラス窓を殴る。僕は警察に勝てない。夢の中で見たあの娘が後輩に似ていて、教室の中の布団に僕らは寝ていた。

 時間は絶え間なく前に進んでいるらしい。街は梅が終わろうとしている。僕は限界だ。どこにも所属しないでいるなんて。セブンイレブンを通り過ぎた。自転車は錆びたブレーキの音を轟かせて深夜の街で停止した。

 夜間はだいたいの信号が押しボタン式になるが、駅前では信号は死んでいた。

  サウナのロッカーに似ていた、シャッターの前の自販機。

 僕は走っていた僕は孤独だ僕がいいと思えるものはこの世にはない少なくともこの街にはない。

 犠牲になって死ぬ。僕の代わりに猫が死ぬ。車に轢かれて死ぬ。犠牲になって死ぬ。僕の代わりに熊が死ぬ。木にぶら下がって死ぬ。犠牲になって死ぬ。僕の代わりに犬が死ぬ。銃剣に撃たれて死ぬ。

 霊岸橋始めますはじめまして、霊岸橋をわたった。はじめまして。

 ようやくここまで来れば道も覚えているようで、アステカの彫刻みたいな道路標識を初めて見て驚く。

  突撃歩兵のマーチが響く。おいっち、にっ、さんっ、しっ。だいたい泣いている僕はその時も泣いていただって僕は赤ん坊だったからね。おいっち、にっ、さんっ...しっ。

 静かに!

 ゆうべ見たゆめの話をしましょうぼうや私の腕にしがみつくぼうやわたしの脚にしがみつくぼうやわたしのむねにしがみつくぼうや泣いたりした罰をうけるのはわたし。

 むねとひらがなで書いたとき、とりむね肉を思った。相変わらず自転車を走らせる僕は三時ちょうどの隅田川の上を見下ろし信じられないほど高いタワーに見下ろされた、暗がりの中で深夜は巨大な暗がりだが僕は暗がりをさーっと滑走していく波立つすきを与えないほどにあっさりと、見つからないように。

 衛星写真を見たことがある。日本のかたちで光がともっていた。もはやこの惑星はどこの星より光っているそれは全国民の善意によるものだ。夜でも安心して歩けるように。

 橋の上は冷たい風がして匂いが少しうみのようだったから空を見上げた僕の網膜に星の光はついに一つもうつらなかった。

 ここは佐賀なのだろうかここは東京だ。

 寂れたビルの傍聴席でガソリンがいつだったか非常に値上がりしたとニュースでやっていたとき父さんは車を手放した。父さんは車の好きな人間だったからいまでもカーグラフィックTVを見ている。

 砲術塾の跡地。IT企業が建った。

 だれかこいびとに出会いたい運命的に出逢いたい、僕は自転車をかき鳴らしてヘルメットを買いに家を出たのにどこもかしこもサイレンなんて鳴りやしない。いや違うぼくは、破壊をしに、出かけたのであった。ぐんそうどの!わたくしめの出生地を教えてください、母さん、どこに会えれば会えるのか知らない父さんの眠れぬ森をどうかわが目の前に照らしたまえ道を、しめしてくださいグーグルマップ。がぼくのなまえ。

 赤ん坊のぼくは軍隊の歩行練習を見ながら体にまとわりついていた母の泣いて謝る姿をクラリネット色の夜のなか自転車が走り回る音に合わせておいっち、にっ、さんっ、しっくるくるまわる。まわる視界の向こう側にここじゃないどこかが見える。

常にここじゃない何処かへ行きたいと思ってる。だから電話が好き。

 上記の文章をぼくは、本当ははじめに書いた。

 会話がおかしくなる。象の鼻を持つ犬みたいに。そうなる前にぼくはこの文章を閉じなくちゃいけない。

 そう。これは文章だ決して旅などではなく自転車はカラカラまわり続ける。浄土真宗のお寺の前を無限に回転していく刃のように、これは文章だから作り物でありながらあなたはこれを読んでいるあなたは。

 読んでいないあなたが急にぼくの目の前に現れて深夜なのに赤い自転車に乗って郵便配達をはじめる。