ゲージュツ的しつけ

フェレットのしつけが書いたゲージツ的なしつけ術の数々。メール→fererere25@gmail.com

童話、教訓めいた初夢

 夢を見ました。あれは新宿東口の交差点でした。太陽は真上からカラカラとアスファルトを照らして、ビルのディスプレイが陽炎で揺れて妙にガチャガチャした色になっていました。駅前とビル街をつなぐ広い横断歩道の両岸に人々は立ち止まり、信号をにらんでいました。道路の上には色とりどりの車が通っています。ガードレールをまたいで、男がタクシーに乗り込みました。都営バスが視界を横切り、通り過ぎていく間に、信号は青に変わっていました。

 雪崩のように人々は道路へと飛び出して行きました。僕も遅れないように道路へ歩いて行きました。対岸の歩道を目指して人混みの中を真っ直ぐに歩いて行きました。周りの人々はスタスタと、時に立ち止まったりぶつかったりしながらもそれぞれの歩道にたどり着いたようです。しかし、不思議なことに僕の足元の横断歩道はいつまでも終わりませんでした。

 目測では五秒もあるけばたどり着くであろう対岸へ何故かたどり着きません。止まっているわけでもなく、歩き続けている実感はありました。視界のも真っ直ぐに移動し続けています。しかし、どうしたって対岸には辿りつかないのです。

 僕は大げさに手を動かしてみたり、走ったりしました。横断歩道の上は僕一人でした。それどころか、横断歩道の両岸の人もどんどんと思い思いの方向に歩いて行ってしまいます。僕は一人になることの恐怖に、さらに走りました。視界は走るスピードに合わせてスクロールして行き、それでも道路との距離が縮まりませんでした。向こう岸を見ると、とうとう人は誰もいなくなっています。僕は大声で叫びました。それでも誰も僕の方を見ようとしませんでした。どれだけ声を振り絞っても届かない、そして対岸に行けないまま、信号は赤になりました。車は一台も通りませんでした。

 僕は横断歩道に一人立ち尽くしたまま、赤と青に変わる信号を見ていました。信号は無言で点滅を繰り返しています。僕は、せめてきた道を戻ろうと思い、振り向きました。しかし僕の背後の街は消えていて、そこには色とりどりの辞書が浮かんでいました。僕はその中の一つを手にとって、“目的地”を探そうとしましたが、ページをめくっているうちにその本は詩集になっていて、どこを探しても目的地はありませんでした。

こういった夢です。