ゲージュツ的しつけ

フェレットのしつけが書いたゲージツ的なしつけ術の数々。メール→fererere25@gmail.com

キリンジ 和声 分析

 コード理論と和声を併用して最初のアルバムから一曲ずつin-cでコードのつながりを見ていく。

正直コード理論のサイトを見ても何言ってるかわからなかったので、自分で1から見て行くことにした。

これは俺の思考の道筋を記録したもので、正しいかどうかはわからない。けれどその考えのプロセスをたどって行くことで今まで理解できなかったことに近づけるかもしれない。

目標としては

①.循環のパターンを見つけること

 


キリンジ特有のコード進行のパターンというものがあるはずで、それを見つけること

②.テンションコードの使い方を知ること

 


キリンジの特徴として(冨田ラボの特徴なのかもしれないけれど)テンションコードの使い方が上手だということが挙げられる。キリンジ的なテンションの使い方を探ること。これもある種のパターン論でもある。

③.コードの分岐表を作成する

 


in-cにおけるコードの分岐表を作ることで、進行の違いを明確化するということ。これがあればその進行通りに曲を作ることもできるし、分岐させた分だけ別の曲にできるのではないかという企み。

 


以上の三つの目標のためにキリンジの楽曲を見ていこうと思う。

また、それ以外にも

・拍子と、調や進行の関係性

・歌詞とコードの関係性

・メロディのつけ方

などが見えるような資料にしたい。

 


paper driver‘s music 

 


1.双子座グラフィティ

A-dur 4/4 (3音上げ)

 


Intr

Am7 Gm7 FM7 Em7 Dm7 B♭M7

 


Verse 1

CM7 F#m7-5 FM7 CM7×2

 


Gm7 C7 FM7 Em7 Am7 Dm7 G7

 


CM7 F#m7-5 FM7 CM7×2

 


Gm7 C7 FM7 Em7 Am7 Dm7 Em7 FM7 F#m7-5 G CM7

 


Verse 2

FM7 Em7 C7 (Dm7 G7) E7 Am7 Gm7

C7 FM7 E7 Am7→intr 

 


ひとまず、1番だけ見てみよう。

 


ここまでで出て来るノンダイアトニックコードはGm7、B♭M7、F#m7-5、C7、E7の4つ。一つずつ見ていこう。

 


・Gm7

謎。

Am→G→Fという進行の時にブルーノートを使った感じ。

 


・B♭M7

Gm9の根音省略形。ソシレファラのシがブルーノートになった感じだと思う。

 


・F#m7-5

F#のハーフディミニッシュコード。

和声だったらD9の根音省略形として扱われる和音。つまり、C-durにおいてはドッペルドミナントとして使われるのがセオリー。

しかしここまででドッペルドミナントとして使われているのはサビ前のところだけで、それ以外の場所ではFM7につながっている。

Am7のGの音がブルーノートになったと考えればいい。

ブルーノートを取り外して考えると、Verse 1の最初の進行はCM7→Am7→FM7→CM7のシンプルな進行になる。

つまり、Am7の代わりに使う場合と、Dmの代わりに使う場合の二通りの使い方ができる。

 


・C7

F-durからの借用和音。FM7へのセカンダリドミナント

これも7度の音が下がるブルーノート

Gm7→C7という進行が多いね。

FM7に向かう以外にもDmに向かう使い方もできるようだ。

 


・E7

a-mollからの借用和音。Am7へのドミナント

 


<双子座グラフィティ まとめ>

単純な進行をブルーノートでおしゃれにしてる。そういう意味ではシンプルな曲だが、ブルーノートの使い方が良すぎるのでめっちゃいい曲なのだと思う。シンプルでいい曲。素晴らしい。大好きです。

 


2.風を撃て

E-dur 4/4 (4capo)

 


Intr 

Bm7 E7 A D G G7

 


Verse 1

C E7 Am7 F#dim F Fm C7

C E7 Am7 F Dm7 F Em7 A7

F Dm7 F Em7 A7

 


Verse 2

F#m7 B7 E

F#m7 B7 E Bm7 E7

F#m7 B7 E DM7 Bm7 C#7

 


パラッパッパ

F#m7 G#m7 C#7

F#m7 G#m7 C#7

F#m7 G#m7 C#7

Bm7 E G

 


1番まで、Verse 2で起こる転調はE-durへの転調(?)シャープ系の調なのは間違いない。

 


ノンダイアトニックコードは数が多いので場所に分けて分析する。

<intr>

・Bm7

Eのドミナントの3度がブルーノートになった形。

 


・E7

主和音であり、次のA7(4度)に向かうドミナントでもある。

 


・A7

Dへ向かうドミナント

 


・D

Gへ向かうドミナント

 


<イントロまとめ>

イントロはE-durで始まり、C-durに至るまでのストーリって感じがする。

ドミナントを連続して使うことで最終的にCまで着地する。面白い。

また、最初にB7ではなくBm7を持ってきたところがおしゃれだと思う。

この時点でE-durとC-durの関係性が明示されている。というかこの転調の関係からこの曲を構想したんじゃないか?っていうくらい綺麗に考えられている。すごい。

 


<Verse 1>

・E7

Amへのドミナント

 


・F#dim 

Dm7の代理。この部分(F#dim→F→Fm→C7)を一番シンプルにするとⅡ→Ⅳ→Ⅰ(Dm→F→C)っていう進行になる。

Dm7を(おそらく)平行調から借用してきたD7にして、さらにそこに、同主短調から借りてきたE♭を乗っける。(準固有和音化)その上で根音を省略した形。

ここで準固有和音を使っているのでFmが使いやすいのかも

 


・Fm

C7へ向かう準固有和音。F→Fm→Cの流れは美しい。

 


・C7

多分だけどCM7がFmの影響を受けて準固有和音としてC7に解決した感じだと思う。トニックにブルーノートが入るということ。響きの違いが面白い。

 


・A7

次の調のドミナント。これが6度に解決するのがおしゃれなところ。

余談だけど、A7の構成音がラ、ド♯、ミ、ソでF#m7の構成音がファ♯、ラ、ド♯、ミ、転回するとラ、ド、ミ、ファ♯となる。

このファ♯をソ♭って読むとA7のブルーノートがF#m7になる。よって、自然に転調できる。これ考えたやつすごいな。

CとEの調は意外と密接に関係しているのかもしれない。

 


<Verse 2以降>

・E7

A7のドミナントとして本来使われる和音だが、解決する和音の平行調のF#mに行くために使われている。ちょっと複雑な使い方。

 


・Bm7

B7のD#の音がブルーノートになっている。ドミナントとして使えるっぽい。EとC # にいっているため

 


・DM7

F#m7の代理として使われている。

次に来るBm7との間にツーファイブを形成している。

わかんないけどB9の3度がブルーノートになってBm9になった後で根音を省略したとすれば納得できる。多分違う無理矢理な解釈ですね。

とりあえず、2度の代理としてⅦM7が使えるらしい。

 


C#7

F#mのドミナント。ツーファイブの進行をさらに強めるための考えだと思われる。

 


<風を撃て まとめ>

C-durとE-durの関係性をこれでもかと主張している曲。アイデア勝負な感じがします。アイデアもセンスも天才的。

単純な進行をめちゃくちゃおしゃれにするとこの複雑な感じになるので、難しかったけど分析してみてよかった。

テクニック的にもいい曲。好きすぎる。

 


3.野良の虹

E-dur 4/4(4capo)

 


<intr>

C×2小説

Dm/C×4

DmC×3 DmC Aaug

 


<verse 1>

Dm9→Em7→Dm7→FG→DmGDmC→C→DmC→Aaug

 


Dm9→Em7→Dm7→FG→DmG→Dm/C→C→B♭M7→Am7

 


<Bridge>

FM7→C→Dm7→F/G→C

Caug7/B♭→Am→D→F/G

 


<Verse 2>

B♭C→F#m7-5→GF→Em7→A→F#m7-5

GF→Em7→A→F#m7-5→GF→Em7→A→Dm7→F/G

 


ノンダイアトニックコード(とオンコード)

<intr>

・Dm/C

素晴らしい。メロディーの倚音に合わせたコード。メロディありきって感じの偶成和音っぽい。キラキラしてる。ぐう聖和音。

ファーミーレードーっていうシンプルなメロディに寄り添うベースのワンコード。

 


・A aug

DmのドミナントであるA7の代理。

A7よりも半音が多く、もっと強くしたいときに使うのかな?

とりあえず2度に行く時使えるっぽい。

A7よりセンセーショナルな和音。使い道としてはあんまり変わってない。

 


<verse 1>

・Dm9

ノンダイアトニックコードじゃないけど面白かったので。

歌のメロディと合わせるとDm11になってる。歌がGを歌うから9まで付け足したのかなって感じで面白い。

めちゃシンプルに理解するとFM7を使うべきところをDm7/Cにしてるから少し違和感がある。

本来なら(?)FM7→C→Dm7→Cっていう進行のFM7をDm7にすることで、2度で曲がスタートすることになって面白いね。

 


・FG、DmG

至極シンプルに考えれば、この部分はDm7→Em7(G7の代理)→Dm7→G7→C、つまりこの二つの和音が使われているところは5度の音で十分。

また、この根音のGは抜いて、Dm→Em→Dm→F→Dm→Cっていう進行も考えられる。つまるところこの二つはGの代理として使われている。

Dm7→Gのツーファイブを形成しつつ進行もおしゃれにするっていう欲張り和音セット。

 


・B♭M7

Dmの代理として出てきている。

B♭の謎が残る。ブルーノートとして解釈するとGに帰属してしまう気がする。

 


<bridge>

・Caug7/B♭

Amへ向かうG#とC♭。美しい反行。

ベースはC→B♭→A。メロディはG→G#→A

並行8度だけどね。おしゃれならなんでもいい。

 


・D

F/Gへのドミナント

余談だが、この曲はツーファイブのGをF/Gにすることがめっちゃ多いね。そういうアイデンティティの曲。

 


<verse 2>

・B♭/C

Fに向かうためのC7の代理。

ここの進行を一番シンプルにすると

C→Dm→G→C→Dm→Gというツーファイブの進行になっている。

このシンプルな進行の最初のCに当たる和音

 


・F#m7-5

GのドミナントであるD7の根音省略形。

 


・G/F

ツーファイブの根音がクリシェしているということ。

 


・Em7

Cの代理コード。F#→F→Eの美しい流れの中にある。

 


・A

Dのドミナントとして。この後にDの代理コードであるF#m7-5が来る。

 


<野良の虹まとめ>

ツーファイブを中心に作られている。

ツーファイブの変化系がこれでもかとばかりに出ているので勉強するのにとても良い。

Em7の使い方が絶妙で、Verse 1ではGの代理として、サビではCの代理として使われている。

前者ではよりおしゃれに複雑な和音として使われているし、後者では根音の順次進行に沿って使われている。美しい。

二つ名をつけるとしたらツーファイブの野良の虹とかになるくらいツーファイブ。ツーファイブって大事なんだなって思った。

 


4.太陽の午後

A-dur 4/4(3音上げ)

 


<intr>

C→Dm→E♭M7 →(Dm→G)×2

 


<Verse 1>

C→FM7→Dm7→FG→C→C7→F→DF#→Em→Dm→F/G→C→Fm

 


C→FM7→Dm7→FG→C→C7→F→Dm7-5→Am→A♭m7→Gm→C7→FM7→Dm→FG→C

 


<Verse 2>

Dm→Em→FM7→C→Dm7→Em7→E♭M7→Dm7

C→Dm7→Em7→FM7→C→Dm7→Em7→→FM7→Fm→C

 


ノンダイアトニックコード

 


<intr>

・E♭M7

Em7のEとBの音がブルーノートになって半音下降した和音。

Gmと構成音が似ていて、多分ツーファイブのⅤ度として使える。

もしくは、Cm9の構成音とも近いため、トニックとしても使える?

 


<verse 1>

・F/G

ツーファイブの時に使える欲張り和音。メロディとの兼ね合いかな?

 


・D/F#

Gのドミナント。F→F#の流れを作り出している。そこでGじゃなくてEmに解決するのがおしゃれなところなのかも。

 


・Fm

C→Fm→Cという終止形のシンプルお洒落なやつ。

 


・Dm7-5

Fの代理のFmの代理。F→Dm7-5→Amでメロディが刺繍音になる?A→A♭→Aの形の解決も仮にCに解決するとしたらA→A♭→Gの解決にもなるし綺麗で使いやすそう。

 


・A♭m7

Am→Gmのための経過和音。それはわかるけど用法というかどうしてこの音なのかがわからない。

 


・C7

Fに向かうドミナント。トニックのとこで使われる。

 


Gm

Gがブルーノートになったやつ。

 


<太陽の午後、まとめ>

他の曲と比べるとシンプルな構成だけどシンプルな中にツボを抑えるような和音が多い。

Dm7-5とE♭M7の使い方が面白かった。前者はFmの代用で使える。後者はGの代用として使える。また新たなツーファイブの可能性がひらけたのも収穫だろうと思う。

また、A♭m7についてもうちょっと考えなきゃなって思いました。

 


5.雨を見くびるな

D-dur 4/4(2capo)

 


<intr>

C→Csus4→G add9

→C→CM7→C7→F×2

 


<Verse 1>

C→Em7→FM7→

F#m7-5→D♭7→E7→Am7→

F#m7-5→Em7→Am7→DmG

 


C→Em7→FM7→F#m7-5→B♭→

B♭C →C→FM7→G→Bm7→CaugG#→Am7→B7→FM7→CM7

 


<Verse 2>

Dm→E→E7→Am7→FM7→Em→Dm→CM7→G#dim→FM7→CM7→Dm→E→E7→Am7→FM7→Em→Dm→CM7→F/G

 


ノンダイアトニックコード

<intr>

・C sus4

ノンダイアトニックじゃないけど。

4度の代理で使われているのかな?次がⅤ度にも行けるらしい。

 


・G add9

ドミナントのキラキラしたやつ

 


<Verse 1>

・F#m7-5 

Am7の代理(?)

この部分の進行を一番単純にすると

C→Em7→FM7→Am7→G→Em→Am7になるはず。

Dの代理。Cの裏コードであるD♭7に行くためのドミナント

こっちがツーファイブだった。

 


・D♭7

(上で見たように、Dm7の代理かと思われる。Gの代理であるEm7との間にツーファイブを形成している?) 

いわゆるCの裏コードだと考えると5度の代理だと思う。

ツーファイブの5度にあたる。

 


・E7

Am7へのドミナント

 


・B♭

上のD♭m7を見る限り、このB♭も5度の代理だと思う。

Gの中のBがブルーノートになったGm7の根音省略形。

 


・B♭/C

Cで解決している。メロディとの兼ね合いと、前のコードとの兼ね合いの2つを満たしている。

 


・Bm7

Dm7の代理(?)構成音を見る限りそうっぽい。

a-mollの2度を借用している。

Bm7→Caug→Am7という進行。a-mollにおけるツーファイブ。

 


・Caug/G#

Am7に向かうためのaugだと思う。

悪意って言葉にこのセンセーショナルな響きが乗っかっているのが印象的。

G#の音がEっぽい。

Am7に向かうドミナントのEの代理。

Bm7との間にツーファイブを構成している。

 


・B7

EmのEとGがブルーノートになった形?

Emの代理としてe-mollから借用されたのではないかと思った。

なのでこの一連の流れをシンプルにすると()内はダイアトニックに変換した場合。

FM7→G→Bm7(Dm)→E(Em7)(CM7)→Am7→Em(G)→FM7→CM7

 


<Verse 2>

・G#dim

構成音を見ると、E7の根音省略形に見える。次がAmじゃなくてFM7に解決してるのもお洒落なところ。

 


<雨を見くびるな、まとめ>

この曲は大好きすぎる。

堀込高樹の技術が結集されている。コードのつながりや、解釈、メロディのつけ方どれをとっても超一流。天才か。

 


7.ニュータウン

D-dur 4/4(2capo)

 


<intr>

GF→CM7→B♭6 →Am7→Am7A♭→Am7→F#m7-5→Dm→F/G

 


<Verse 1>

CM7→Dm7→F/G→C→Em→Am→G×2

Em7-5→B7→Em→EmM7→Em7→B♭C→CD→F→F#m7→B7→C→Eaug

→Am7→Am7/D

 


<bridge>

C6→C#aug→Dm7→F/G

 


<Verse2>

CM7→FG→F#7→FM7→Am7→Dm7→B♭C

FM7→Dm7→F/G×2

p

Em→Dm→Em→Dm→F→F/G

 


ノンダイアトニック

<intr>

・G/F

Gのドミナントの感じとFのサブドミナントのちょっとヌルッとした感じが出る。

F→C→Dm→Amという循環コードの途中から始めるありがちなスタートだけどこのオンコードのおかげで感動的になってる。

 


・B♭6(Gm/B♭)

Gmの転回形。美しいコード。

次のAmとCとを結んでいる。

ド→シ♭→ラのベースのラインが綺麗。

Dmの代理っぽい?

 


・Am7/A♭

ベースラインの下降線のためのコード?

A♭augみたいな感じで使うのかな。

mM7の使い方はモーダルインターチェンジと関わっているらしい。

 


・F#m7-5

Dの代理。

 


・F/G

Dmからのツーファイブ

 


<Verse1>

・Em7-5

構成音を見るとGm6/Eにも見える。

C9の根音省略形にも見える。

多分聞いた感じGmの代理で使われている。

 


・B7

 

 

 

・EmM7

さっきのAm7/A♭と同じような使い方をしている。これがmM7の一番シンプルな使い方らしい。EmとEm7で挟んで使う。

ミ→レ♯→レ

のラインができるのが綺麗。使いどころ難しいな。

 


・B♭/C

・C/D

・F#m7   

 

 

 

・Caug/E

Am7へ向かうためのaug。

 


・Am7/D

 


<bridge以降>

・C6

C#aug

・F#7  

 

 

 

<ニュータウン、まとめ>

一番好きな曲。見てみたら一番複雑だった。オンコードの使い方が素晴らしい。